「羊君よ、俺たちの道は一体どうなっているんだろうなぁ。
俺は自分を不幸だとは思わないが、君を見ていると気の毒だよ。
君には友達がいるかい?いないだろう?
君には帰る家があるかい?夢があるかい?将来はあるのかい?
断言するさ、君には何もない。」
犬は羊を責めた。
羊は「これは本当の犬だろうか・・・?」と疑問を抱きつつ、
「ああ、すべて君の言うとおりだよ。」そう答えるしかなかった。
犬が突然羊を責め、羊は怒りよりも寂しさを感じた。
「君は一人じゃいられないタイプ。」と言いながら、犬は羊に矢を放った。
羊はそれを手のひらで受け止め、一本一本折りながら火をつけて吹き消した。
「こんなもんか、こんなもんだろう、どうせ今の暮らしは・・・。」
羊は天井を眺めながら、一つ一つ思い出していた。
犬の家の構造を思い出そうとしていた。取り壊しになった家だ。
秘密のトンネルがあり、偽者の通報装置があり、人がよく集まっていた。
犬の兄さんである象の面影もあった。羊の兄さんの足跡すらあった。
それともすべて幻だったのだろうか・・・。